成年後見の申立(本人申立てはできるのか?)

先日、とあるケアマネージャーさんから相談がありました。

担当している女性が自宅に独居していたが、さすがに認知も進み、一人で買い物や身の回りのこともできなくなってきたので、ショートステイの継続利用を続けているとのこと。
そして今いる施設に併設している特別養護老人ホームに入所できる運びとなったのですが、契約関係に協力してくれる身近な親族がいないということです。
そこで後見人の選任の申立ての相談でした。

さて、事情はよく分かったのですが、成年後見の申立ては誰がするのでしょう。
もちろん司法書士である私は申立書の作成などのサポートはできますが申立権者ではありません。
成年後見制度の申し立ては誰でもできるわけではなく、
次の方たちしかできないとされています。
1.本人
2.配偶者
3.四親等内の親族
4.市町村長

では、今回のご相談の場合、
2.配偶者はいません。
3.四親等内の親族はいるにはいますが、関係が疎遠で協力を得ることは難しい状況です。
4.の市町村長は、お願いできるにはできますが、やはり手続きに時間がかかってしまいますのでできれば避けたいところです。

では、1.本人は?
そう本人がいるではないですか。

でも、考えてみましょう。
後見人の選任が必要な方(つまり判断能力が衰えている方)がそもそも申立ができるのでしょうか?
後見人の役割や、後見の申立ての意味を理解し、自らが申立権者となり申立てをすることが・・・
しかし、それができないとなると、市の協力を仰ぐしかありません。相談をしてからいったい何か月かかるでしょう。
申立てが受理され後見人が選任されたころには、特別養護老人ホームにはもう空きがないかもしれません。
それが本人の利益となるでしょうか?

さてここでもう一度考えてみましょう。法律が、後見制度の申立権者として「本人」を一番目に入れている意味です。

解釈はいろいろあると思いますが、私は、本人保護の観点から本人申立はできると判断して、今回のケースは、ご本人名で申立書を作成させていただきました。
そして、その後、家庭裁判所からも特に何も言われず、無事、後見人が選任されました。
かなりスピーディーな審判をいただき、非常に良かったなと思います。

追伸:
もちろん、「後見人の本人申立は絶対やらない」という方もいらっしゃるでしょう。それを否定する気持ちはありません。
個々の専門家としての判断に従えばいいと思っています。

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