遺言と異なる内容の遺産分割協議 その①

前回、被相続人が遺言を残していたら、遺産分割協議はできないのか?というお話をしました。

今回は、もう少し、具体的な話をしていきたいと思います。

参考記事:遺言と遺産分割の関係

遺言執行者が就職を承諾する前に、遺言と異なる遺産分割協議をした場合

民法1013条は「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と規定しています。
よって、遺言執行者がいる場合に相続人が遺言と異なる遺産分割協議ををしても無効であるとしています。

では、「遺言執行者がある場合」とは、どこまでのことを言うのでしょうか?

民法1013条の「遺言執行者がある場合」について、遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前も含むものと解するというのが判例の立場です。

したがって、遺言に遺言執行者が指定されているときは、遺言執行者が就職を承諾する前でも、相続人らがなした遺言と異なる内容の遺産分割協議は無効ということになります。

もっとも、遺言執行者に指定された者が、就職を辞退した場合などは、家庭裁判所において遺言執行者が選任されない限り、「遺言執行者がある場合」とは言えず、民法1013条の制限は及ばないということになります。

また、遺言執行者に指定された者が、就職の承諾も辞退もしない場合で、長期間遺言執行を放置した場合には、遺言執行者への就職を辞退したものと同視されるとした判例もあります。

いかがでしたか?
相続が発生して、遺言が見つかり、その遺言に遺言執行者が指定されているときは、速やかに連絡を取った方がいいですね。

もちろん、内容が不明な場合は、専門家に相談した方がよいですね。

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